夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群
夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群
夜間頻尿の原因は大きく分けて、
①多尿(夜間の尿量が多い)
②膀胱容量の減少
③睡眠時無呼吸症候群
になります。
③の「睡眠時無呼吸症候群」と「夜間頻尿」の関りは、あまり知られていません。
睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿を起こす理由は、無呼吸時に胸腔内圧が低下し、静脈還流の増加となる為、心臓に戻ってくる血液量と圧力が増加します。その心臓負荷により体液が多すぎると体が勘違いし、心房組織から心房性ナトリウム利尿ホルモンが放出されます。利尿ホルモンは尿産生を増加させる働きがあるので、夜間頻尿の可能性を高めると考えられています。また、睡眠障害により高血圧症や糖尿病を合併する率が高いために夜間多尿を起こす可能性もあります。
本来、眠っている間はリラックスの神経である「副交感神経」が優位となっており尿意を感じにくい為、膀胱にたくさん尿を溜めることができるのですが、睡眠時無呼吸症候群では無呼吸状態によって血液中の酸素濃度が低下し、血圧や心拍数の上昇を招くことで交感神経が優位となるため、膀胱が収縮しやすく、尿意を感じやすい状態になるのです。よって、睡眠時無呼吸症候群の方は夜間頻尿の症状が出やすくなると報告されています。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸状態(呼吸が止まっている状態)が繰り返される病気です。
医学的には10秒以上の呼吸停止状態を「無呼吸」と定義し、無呼吸が1時間あたり5回以上、または一晩(7時間の睡眠中)に30回以上あれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
ただこの無呼吸状態は寝ている間のことなので、なかなか本人は気付くことができません。このことから検査や治療を受けていない方が多く、日本でも300万人~400万人の潜在的な患者さんがいるといわれています。
当院では問診を行い、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあった場合、睡眠中の状況を把握するために自宅での簡易検査を行います。手や指にセンサーを装着し、無呼吸による低酸素状態を測定する検査と、鼻に呼吸センサーを装着して気流やいびきを測定します。検査装置は手首式血圧計を少し大きくした程度の大きさで、センサーをつける以外は普段と同じように寝ていれば測定できる検査ですので、仕事や日常生活など、普段と変わらず過ごすことができます。
当院の簡易検査で睡眠時無呼吸症候群であると診断できず、より精密な検査が必要であると判断された場合には、当院から入院でPSG検査(ポリソムノグラフィー検査)を行う医療機関をご紹介させて頂きます。
睡眠時無呼吸症候群と診断された方は、治療が必要となり、「CPAP(シーパップ)治療」と呼ばれる、睡眠時に専用のマスクを装着し、エアチューブで鼻から上気道に空気を送り続ける装置を使う治療法が多く、当院での治療も可能です。是非ご相談ください。