ボトックス膀胱内注入療法
ボトックス膀胱内注入療法
過活動膀胱と診断され、行動療法と薬物療法を行いますが、治療を少なくとも12週間継続しても治療効果がでず、切迫性尿失禁などで著しく生活の質(QOL)を損なう場合を「難治性過活動膀胱」と診断されます。2020年4月より保険収載されたボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス膀胱壁内注入療法)が、日本でも試行出来るようになりました。
ボトックス膀胱内注入療法の適応となる方
ボトックス治療を行うにあたっては、残尿量が 100ml 以下であることが必要です。また、万が一尿が自力で出せなくなった時のために、自分(もしくは生活を共にされる方)で導尿ができることが必要です。
以下の条件に当てはまる方は、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を受けることができません。
・現在尿路感染症にかかっている方
・もともと重度の排尿障害があり、自己導尿を行っていない方
・全身性の筋力低下を起こす病気(重症筋無力症、ランバート・ イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)がある方
・妊娠中あるいは授乳中の方、妊娠している可能性のある方
・過去にボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を受け、発疹などのアレルギーを生じた方
・副作用で自己導尿が必要になった場合に、自己導尿の実施に同意いただけない方
ボトックス膀胱内注入療法
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は膀胱鏡というカメラを用いて膀胱の壁内(筋肉)にボツリヌス毒素を注射する治療です。実施に際しては、麻酔施行後に膀胱の筋肉に細い針でボツリヌス毒素、100単位を20箇所に分けて注入していきます。手術時間は10分程度です。効果は通常、治療後2~3日であらわれ、4~8ヵ月にわたって持続します (効果の程度や持続期間には個人差があります)。薬の効果が弱まり症状が再発した場合は、前回投与より4ヶ月以上経っていれば再投与を考慮します。再投与の時期についてはご相談頂ければと思います。
副作用として、残尿量の増加(自己導尿の必要性)、尿閉、尿路感染症がおこることがあります。ボトックス膀胱内注入療法は、対処療法ですので、効果持続期間をすぎると効果消失し、繰り返し行う必要があります。注意事項として、女性は投与後2回の月経を経るまで、男性は投与後3か月以上経過するまで避妊が必要です。
ご不明な点等ございましたら、遠慮なくお問い合わせください。